追加資料を求められた場合のリカバリー対策

 日本人の配偶者等ビザ(以下、配偶者ビザと表記します)の申請後、出入国在留管理庁(旧入国管理局)から「資料提出通知書」という書類が届くことがあります。突然の通知に、「不許可になるのでは」とお悩みになられる方も多いのですが、これは即座に不許可を意味するものではありません。審査官が「判断を下すための材料を補強してほしい」という意味合いです。ここで正しい対応をすれば許可へと繋がりますが、対応を誤ると不許可のリスクが高まります。今回のブログ記事では、追加資料を求められた場合の審査官の意図、NG行動、そして許可を得るためのリカバリー対策を解説いたします。

なぜ入管から「資料提出通知書」が届くのか?

 追加資料を求められる理由は、提出書類の中に「説明の矛盾」「説明不足」「客観的証拠の不足」が存在し、審査官が疑問を抱いたからです。審査は、提出された書類のみで判断する書面主義です。少しでも不自然な点や時系列が繋がらない箇所を、審査官は見逃しません。特に配偶者ビザは、偽装結婚を防止する背景もあり、審査官の判断は慎重です。通知書に書かれている要求は、審査官が「ここさえクリアになれば許可を出せるのに」と考えているポイントそのものと置き換えることが出来ます。

追加資料を求められやすい4つの典型的なケース

①書類間での「整合性」が欠如しているケース

 最も多いのが、質問書に書いた内容と、添付した公的証明書や交流資料の内容との間にズレがあるケースです。代表的な例を挙げますと、出会った時期の記憶違いによる記載ミスなどが、審査官に「何かを隠しているのではないか」という疑念を抱かせる原因になります。

②「生活実態」が読み取りにくいケース

 住民票などの基本資料だけでは、生活状況が分かりにくい場合です。仕事の都合などで「まだ同居していない」場合や、「親族の家に同居しており、夫婦独自の生活スペースが不明」な場合、具体的な同居の形態や別居の正当な理由を詳しく要求されます。

③出会いから結婚までの「経緯」に説明不足があるケース

 SNSで知り合い、直接対面した回数が少ないまま結婚に至った場合などです。お互いの人柄に惹かれた動機や日々の交流を証明するデータが不十分だと、交際の実態を確認するために、より過去に遡った具体的な通信記録を求められます。

④収入資料から「独立した生計」に疑義を持たれたケース

 転職直後で所得額が低い場合や、アルバイト収入しかなく、生計維持能力に懸念がある場合です。これについては、単に不許可とする前に、現在の給与明細や今後の収入見込み、親族からの経済的支援を客観的に証明できる書類を出す機会を与えられます。

【厳禁】通知書が届いたときに絶対にやってはいけないNG行動

①期限を守らない

 提出期限は通常1~2週間程度と非常に短いです。放置して期限を過ぎると、その時点で「提出済みの書類のみで審査」となり、不利になります。

②感情的な反論や言い訳

 「私たちは本当に愛し合っているのに失礼だ」といった抗議文は、審査において何のプラスにもなりません。入管が求めているのは、主観的な感情ではなく、客観的な事実です。

③適当な書類の提出や虚偽

 辻褄を合わせるために、事実に反する説明を作り出すことは厳禁です。虚偽の申請は経験豊富な審査官には見破られやすく、重大な不利益や今後の審査悪化につながる重いペナルティを受けることがあります。

許可を得るための「3ステップ対策」

【ステップ1】審査官が本当に求めているポイントを読み解く

 通知書の必要書類リストから、「なぜ審査官はこの書類を求めてきたのか?」という背景を考えます。通話履歴を求められたなら「日常的なコミュニケーションの頻度」を、身元保証人の預金残高なら「世帯収入の低さを補うバックアップがあるか」を見ています。審査官が求めているポイントを正確に把握することが第一歩です。

【ステップ2】矛盾を解消し、経緯を説明する「追加理由書」を作成する

 書類を送るだけでは不十分です。最初の書類とズレが生じた理由や事情を、誠実に説明する追加理由書を添付してください。記憶違いは誰にでもあります。ミスは素直に認め、正しい時系列を再整理した上で、今回の追加資料がその説明をどのように補強しているかを文章で補強します。

【ステップ3】文章の説得力を高める「客観的な裏付け証拠」を揃える

 理由書の内容を裏付けるデータを集めます。写真なら、撮影日・場所・人物の関係性をメモで付記し、時系列順に並べます。メッセージ履歴は、婚姻の実態が自然に伝わる部分を抽出します。

資料提出通知書は不許可の予告ではありません

 資料提出通知書が届いたということは、「不許可になる前に、こちらの言い分や証拠を聞いてくれる機会」をもらった状態です。この機会を活かせるかどうかは、提出する書面の質と、審査官の疑念を完璧に晴らせるかどうかにかかっています。

 しかし、ご自身だけで審査官の質問の意図を読み解き、矛盾のない追加理由書を書き上げ、適切な証拠を揃えるのは、非常に大きな負担となります。もし、「通知書の意味がよく分からない」「どのように理由書を書けば審査官が納得してくれるか不安だ」という場合は、書類を提出してしまう前に、ぜひ一度、タナカイサオ行政書士事務所にご相談ください。審査官の質問の意図に沿った万全な書面づくりをサポートさせていただきます。