~入管が厳しくチェックする婚姻の真実性とは?~

報道に見る「偽装結婚」の摘発実態と出入国在留管理庁が注視する真実性の証明

近年、ニュースにおいて、在留資格の不正取得を目的とした偽装結婚のブローカーや関係者が摘発される事案が後を絶ちません。SNS等を介した組織的な婚姻の斡旋や、多額の報酬を伴う虚偽の婚姻届提出により、多数の外国籍者と日本人が逮捕される事件が各地で発生しており、社会的な問題として報じられています。

 これらの一部の悪質な事例を受け、出入国在留管理庁(旧入国管理局)における日本人の配偶者等ビザ(以下、配偶者ビザと表記します)の在留審査は、真面目に日本での生活を望むご夫婦に対しても、これまで以上に厳しい審査を行う運用へとシフトしています。法的に有効な婚姻手続きを市区町村役場で完了させていることは、入管審査においてはあくまで前提条件に過ぎず、許可を得るためには「実体のある婚姻関係であること」を申請者側が立証しなければならないのが現実です。形式的な書類を並べるだけでは審査を通過出来なくなっている現在の傾向について、前回は簡単に触れるだけでしたので、今回は下記の4点を中心に解説いたします。

出会いから結婚に至る経緯

 おふたりの出会いから交際、そして結婚に至る詳細な経緯を記載した質問の内容が、他の添付書類やデータと整合しているかどうかが詳細にチェックされます。交際中の写真や結婚式の写真を複数枚(20枚以上が望ましいです)あると、結婚の真実性の補強となります。

 おふたりが「どのような経緯で出会い、どのように婚姻に至ったか」という詳細な歴史の立証です。具体的には、留学先の学校や勤務先、共通の友人による紹介、もしくは近年増えているSNSやマッチングアプリなど、最初の接点がどこにあったのかという事実関係が厳格に審査されます。これと同時に、交際が正式に開始されてから婚姻届を提出するまでに、どれほどの期間を要したのか、そして何が決定打となって生涯を共にする決意を固めたのかという客観的な時系列と主観的な動機の両方が、出入国在留管理庁の審査官によって事細かに確認される仕組みになっています。

 特に注意しなければならないのは、社会通念に照らし合わせて不自然に短期間での結婚である場合や、出会いから交際に発展した経緯の説明が極めて抽象的で曖昧なケースです。例えば、直接対面した回数が数回程度であるにもかかわらず籍を入れていたり、連絡を取り合うようになった経緯に具体的なエピソードが欠落していたりすると、審査官からは在留資格の取得のみを目的とした偽装結婚ではないかという疑念を抱かれやすくなります。誠実な婚姻関係であるからこそ語れるはずの、日々のコミュニケーションの積み重ねや、お互いの人柄に惹かれ合っていった自然な流れを、メールやSNSのメッセージ通信履歴や写真といった客観的な証拠で裏付けながら、実態に即した破綻のない書面として提出することが、不許可リスクを回避するためには重要です。

交際・同居の実態

 配偶者ビザの審査において、出入国在留管理庁の審査官が最も重点的に審査するのは、その婚姻関係が法律上のものであるだけでなく、実体を伴った結婚であるかという婚姻の真実性です。出入国在留管理庁の審査は、提出された書面で判断する書面主義によって行われるため、夫婦が主張する「主観的な愛し合っているという説明」では足りません。その事実を客観的な証拠として書面に落とし込まれなければ、一切考慮されません。日々の意思疎通の方法、スマートフォンの通話履歴やメッセージアプリのやり取りの履歴なども、継続的な交流の事実を証明する情報として一定の証明力を持ちます。

家族・友人の認知

 特に、双方の親族への報告状況や親族を交えた写真の有無は、婚姻関係として周囲に認められているかを示す判断要素となるため、これらが不足している場合には、審査官から無用な疑義を抱かれやすくなります。親族の顔合わせの写真、婚約時の写真、結婚式の写真等は必ず用意してください。友人、知人への結婚報告の送信履歴、お祝いのメッセージ記録も説得力を持ちます。

経済的基盤と生活実態

 婚姻の真実性と並ぶもうひとつの大きな壁が、日本国内で安定的かつ継続的に独立して生活を営むことができるかという生計維持能力、および経済基盤の証明です。これは、婚姻生活が始まった後に経済的な困窮によって生活保護を受給する事態に陥ったり、不法就労に手を染めたりするリスクを未然に防止するための措置です。一律の基準額が行政より公表されているわけではございませんが、一般的には世帯全体の安定した収入や、過去の納税義務、社会保険料の適切な納付実績が厳格にチェックされる傾向にあります。日本人パートナー側が配偶者を扶養する場合であっても、あるいは外国籍のパートナー側が主たる生計維持者となる場合であっても、直近の課税証明書や納税証明書において未納や遅延がないことは厳しく確認されます。もし過去に住民税の未納があったり、年金や健康保険の支払いを怠っていたりする場合は、それだけで生計維持能力の継続性に疑義を持たれ、著しく不利な評価を受ける原因となりますので、申請前に公的義務を完全に履行し、万全の準備を整えて臨む必要があります。

偽装結婚を疑われやすい不許可事例への対策と専門の行政書士によるリカバリー

 実態のある誠実な結婚であっても、特定の条件や状況が重なることで、出入国在留管理庁の審査官から偽装結婚の疑いをかけられ、不許可処分に発展してしまう事例は後を絶ちません。年齢差が非常に大きい夫婦、交際期間が短いスピード婚、出会いのきっかけがSNSやマッチングアプリのみで直接会った回数が少ない、または過去に強制退去歴やビザの不許可歴がある外国人との結婚などは、審査において慎重に審査が行われます。

 自己申請において、審査官の意図を正確に汲み取れず、指定された書類だけを機械的に提出した結果、証明不足として「資料提出通知書」が何度も届いたり、最終的に不許可となったりするケースは非常に多いです。当タナカイサオ行政書士事務所は、こうした複雑な事情を抱えた案件や、他事務所・自己申請で一度不許可処分を受けてしまった難度の高い不許可事例にも対応しております。当初の申請における説明不足を補強し、曖昧であった箇所を的確に修正するお手伝いをさせていただいております。